千代田橋学童保育所は、「第二学童」と呼ばれた頃から数えて20数年に渡り千代田橋2丁目で保育を続けてまいりましたが、2009年2月、借地返却に伴い、竹越町内の借家に移転となりました。以下は、移転担当者が今回の引越しを勝手な視点で振り返ったものです。何かの参考になれば幸いです。

はじまり　-2008年9月初旬-
地主さんから会長へ、今年度いっぱいで借地を返していただけませんかとのお話があったそうだ。考えてみるとこの場所に学童ができて十数年。ずっと無償で土地を貸していただいてきたわけで、感謝はできても文句を言うことはできないだろう。 　しかし移転には一体どのくらいお金がかかるのだろうか？そもそも来年の存続も定かでない千代田橋学童が、新たにプレハブなど建てるのは可能なのか？間借りで再スタートか？はたまた宮根学童との合併になるのか？ 　大きな不安が父母会を包む。
2008年9月下旬
父母への緊急アンケートの結果、学区の中で学童が存続してほしいという意見が多数を占める。誰だって、わが子が毎日毎日学区を越えて遠くまで歩いて通ったほうがよいとは思わないだろう。雨が降ればつらいし、夜道も心配だ。だがそのためには新たな保育場所を探さなければならない。どろんこOB通信を発行し、千代田橋の現状と、物件探しへのご協力を訴えた。
2008年10月
会長を中心に、父母による土地探し、物件探しが続く。しかし、今や学校近隣には、すぐにプレハブを建てられそうな土地は殆ど無いことがわかってきた。ちょっとした土地は、代替わりなどですぐに駐車場になってしまうし、一軒家のポストには不動産屋の土地探しのビラがよく入っている。また、もし土地が見つかり、市がプレハブを建ててくれたとしても、今の児童数から考えると、苦労して建設してもすぐに撤去となる可能性もあり、リスクが高いと思われた。 　一方、賃貸のテナントなどは、やはり賃料10万円以上が相場で、とても払えない。アパートは隣近所からの理解が得られないし、学童のような事業に貸してくれるかどうか。。。それ以外の候補として、竹越町内に借家が数件みつかったが、いずれも結構古くて狭く、ここで保育できるのだろうか？という感じであった。。。
2008年12月
来年度継続児童数不明、入所児童数不明、移転先も不明という全く先行きのわからない状況の中で年末を迎える。誰もが、今まさに学童存続の危機であると感じていた。
2009年1月7日（水）
年が空け、移転は待った無しとなった。たとえ学童存続が叶わなくとも、プレハブは撤去しなければならないし、3月中の保育場所は必要ということで、不安の中で移転先探しと撤去準備が本格的に進み始めた。 　撤去工事は、名古屋市が建てたプレハブと、父母が建てたプレハブ（高学年室）とを別にやることになる。市のプレハブの撤去は我々が負担する必要は無いが、指定業者のN社さんによると「工期として2週間いただきます」だそうで、プレハブの撤去にしては随分とかかるものである。一方、高学年室やその他全てを撤去してもらうH建設さんの工期は僅か3日間だそうで、このあたりに公共工事の体質というものが垣間見える感じであった。きちんとやってもらえるとは思うけど。。。 　H建設さんは千代田橋学童OBの方に紹介していただいた会社で、見積もりによると、以前からどろんこで言われていた試算の金額よりもかなり安くしてもらえそうだとわかった（助かる！）。ただしこの会社の担当者は、見積もり1枚送ってもらうのに3回も4回も催促が必要なスローペースな人だった。。。
2009年1月17日（土）
移転先としてはやはりあの借家が最有力だったのだが、四つあった借家の中で一番リフォームされてきれいだった物件が、少し前に借りられていたとわかり、ショック！。残る三軒の中で比較的まともそうだった角地の家に候補を絞り、不動産屋さんから鍵を預かって入ってみると、畳は無く、床板は外れ、雨戸やサッシが尋常な力では動かず、なんだか湿気が高い等々、なかなかたいへんな物件であった。* 　本当ならもっとあちこち探したいところであったが、もうベストを求めて彷徨っている時間は無く、また借りられてしまうと取り返しがつかない状況だったので、腹をくくって（まあほとんどえいやあだが）、ここに引っ越すことに決めた。
＊その後、入居前に、床の修理や畳・襖の交換などをしていただきました
2009年1月24日（土）
引越しスケジュールをたて、夜の父母会で説明した。2月は、引越し以外にも、ウォークラリー、どろんここどもまつり、入所説明会、どろんこの臨時総会や学童保育研究集会などがあり、殆どの土・日が学童の行事で埋め尽くされるという異常な過密スケジュールとなってしまったわけだが、ここまで追い込まれると、もう泣き言わずにやるしかないよなあという、割り切りの様なあきらめの様なムードが漂っていた気がする（それにしても行事多すぎ。しょうがないなあ）。
2009年1月25日（日）
ベテラン指導員から、「近隣・町内にきちんと説明しておかないと後ですごく反対されたりもめたりする」という指摘があった。いずれ御挨拶はする予定だったが、急遽、区政協力委員長さん（この方は学童の運営委員でもある）に相談して、移転先である竹越の町内会長さんを紹介していただき、電話で挨拶をさせていただいた。その際、「町内会で説明したいのですが」とお頼みしたところ、なんと「今夜会合があるからそこへ来られてはどうですか」とのこと。すかさず父母会長に連絡をとり、町内会の冒頭で今回の移転計画を説明させていくことになった。 　その夜の町内会では、移転のこと以外に、学童そのものの存続のため、新入所児童をなんとか集めたいことなども、会長は切々と訴えた。厳しい意見が出るかと思ったが、そんなことは無かった。30年くらい前、どろんこクラブ最初のプレハブが竹越公園の近くにあったことを懐かしく覚えておられる方も多いようだった。そのような方から見ると、「学童が町内に帰ってくる」という感覚なのかもしれない。
2009年2月1日（日）
	この週末は、移転先の近所十数件を回ってビラを配り、学童移転について説明・予告をした（会長ありがとうございました）。反応は概ね好意的で、「子供が近所に増えることはいいことだ」と言ってくださる方もおられたそうだ。しかし中には、子供がうるさいこと、交通事故などトラブルが心配なことから明確に反対の意思を示す方もおられて、せまい住宅街で保育をするということは難しいものだと改めて感じた。　でも、ここでやっていくしかないのだ。。。
2009年2月7日（土）
「どろんここどもまつり」が行われた。70名を超える子どもたちが千代田橋学童を訪れて、遊びコーナーやおやつを楽しんでくれた。 　4月になればもうこの場所は無い。これまで、この学童の敷地を広いと感じたことは無かったが、移転先のことを思うと、建物の外にも中にも友達を大勢呼べるところなど無いわけで、そういう意味では本当に恵まれていたのだなあと改めて思う（でも人間、失ってみないとなかなかモノの有り難味というのはわからないものだね）。 　それにしても新年度からはこの手のイベントはどうするのか？。そういえば「千種ホームニュース」に、他の学童さんで、学校でこどもまつりをやりましたという記事が載っていたような。あちこち頼めば何とかなるかな？ 　明日（8日）はウォークラリー（ふぇー）。すみませんがうちは欠席させていただいて引越し準備をします。
2009年2月15日（日）
この日は指導員さんと父母、ほぼ総出で、プレハブの片付けと、移転先の大掃除を行った。来週には引越しなのでがんばりどころである。借家は本当に狭いので、持っていけるものは限られており、その分、大量の廃棄物・処分品が出た。新学童の方も、汚れだけでなく、電気・建具・外回りなど不具合多数で、結局朝から夕方までがっつり働くことになった。みんなホントにお疲れさまでした（本番は来週だけどね！）。 ★この日の実施項目
プレハブの廃棄物分別 移転する物品のまとめ、梱包 移転先床掃除、畳から拭き 汚れた釣戸棚の掃除 お勝手への通路の確保 安全と居住性向上のため扉撤去、保管先へ運搬 室内灯、トイレ灯取替え 勝手口に冷蔵庫置き台を作成 動かない網戸、雨戸の調整 トイレ水漏れ調整 トイレ扉金具修理 靴箱の設置 邪魔な庭木の撤去
2009年2月20日（金）
プレハブでの保育はこの日が最後。お母さん方の提案で、撤去するプレハブで最後の鍋パーティーをやりましょうということになり、ほとんどの現役家族と指導員が集まった。 　お世話になった建物とのお別れ、4月には学童自体が無くなるかもしれないという状況の中で、しんみりするかと思ったら、全然そんなことはなくていつも通り（いつも以上？）の大宴会、もとい賑やかな会になっちゃいました。でもこういう会は本当にもうこれで最後かも。　（つづく）
2009年2月22日（日）
いよいよ引越し当日をむかえ、移転も大詰めとなった。やることはたくさんあったが、幸い好天となり、各自のがんばりもあって、順調に作業は進んでいった。 　軽トラに乗って現れ、新旧学童間を何往復もしてくれた宮根のI会長、嬉々としてペンキ塗りをしていたK会長、冷蔵庫の中をピカピカに磨き直してくれたお母さん、日曜大工の腕を生かして手作り家具を次々とこさえてくれたお父さんなどなど、誰もが自分の引越しの様に熱心に取り組んでくれたのだった。 　心配し、妥協して引っ越した借家だったが、こうして関係者が心を一つにしている様子を見ると、こういうところに引っ越して皆で苦労を分け合うのもよかったかなあ、と思えてくるから不思議である（苦労というか、どちらかといえば、楽しそうでしたね）。なんとなく、自分たちの手で新しい学童を作ったような、そんな気分であった。 　ともあれ、旧プレハブからの撤収を終え、借家での保育をスタートできるところまでこぎつけたのだった。
	★この日の実施項目 全般 荷物運搬、収納 ゴミ・廃棄物　処分 近隣への粗品用意、挨拶まわり 旧プレハブ片付け 屋内 冷蔵庫設置、庫内掃除 足りないコンセントの延長配線 パソコン、プリンター、電話、コピー機　設置 湯沸かし器、ガスレンジ、電子レンジ　設置 屋内外　ゴミ箱　設置 食器棚（カウンター）　設置 台所整備 各種教材の整理 すのこ板、ウォールポケット　設置 宮根の児童用ロッカー移動、設置 新規ロッカー（カラーBOX）製作、設置 長机移動、設置 カーテン　設置 トイレ整備 屋外 洗濯機　設置 学童看板　取外し、設置 郵便ポスト　設置 屋外物置、ウッドデッキ、傘立て　設置 窓枠、戸袋、門のペンキぬり
他にも色々ありましたが...　とりあえず